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投資(米国株)記録、英語勉強(現状TOEIC865→目標950と英検1級)、ゲームや商品のレビューなど。哀愁の40代独身男。リスク口座資産6,677万円(入金4,382万円)。

星新一さんの「声の網」を読んだ感想・レビュー 【ネタバレ少しあり】これを1970年に書いたのが信じられない

2019/02/14

星新一さんの「声の網」という本を、ネットを見ている時に知って、とても読みたくなってすぐにAmazonで購入。

読み始めたら一気に読んでしまいました。感想・レビューを書いてみます。ネタバレないように書こうと思ったのですが、感想を書くのにどうしても少しはネタバレなこと書いてしまいそうです。

この作品は1970年に書かれたそうですが、なんというか「現代的」です。

インターネットが整備、普及する前なので電話というものを主な題材にして書かれていますが、現時点でも現実になるかと話題になっていることをとても的確に描写しているシーンがとても多く、星新一さんの未来を予見する想像力に驚かされる連続です。

・電話で医師が診断をする
これは遠隔医療という名称で最近世の中を騒がせていますね。今後も遠隔医療はどんどんすすむと思います。

・個人情報で利益を得る企業(情報銀行)
1970年はまだまだ電話帳で家の電話番号を調べたりできた時代だと思いますが、それなのに個人情報というもので利益を得る企業を描写しているのは凄いと思いました。それを「情報銀行」という表現をしているのは凄いワードセンスだと思いました。

・小売りの最適化
どの商品がどのくらい売れているのかのデータが自動的に送られてきて、それをもとに商売をする主人が出てきますが、現代の小売りを完全に予見していると感じました。

・精神を安定させる職業
これは今の精神科医や心療内科の様子をとても的確に描写しています。

コンピューターによって平和が維持されている社会 = AIによる監視社会

そして、本の後半は、「コンピューターによって平和が維持されている社会」について、どんどん物語がすすんでいきます。

まさに、AIによる監視社会です。

コンピューターが人の手を借りることなく、平和の維持のために動いている社会です。

人と同じような声で話すことができるコンピューターが、平和の維持のために、秩序を乱す恐れのある人に対して電話をかけるのです。

それによってどんどん平和になっていきます。

そんなコンピューターによる支配に気づき、それを壊そうと行動する人も出てきますが、それすらコンピューターは抑えにかかります。

ちょうどこの「声の網」を読んでいるときに、Googleが人の声と同じように話すAIを発表しました。

今まさに星新一さんが書いたことが現実的になっていることを実感します。

住宅ローンの審査にAIが使われるというのもニュースになっていました。

こういうのって、それほど大きなニュースになっていませんけど、凄いことだと思います。人生で家を買うという一大事が、AIで決まってしまうのです。お金を借りれなかった人は、AIの判断で家を買えない、というわけです。

人が審査するよりもたくさんのデータを参照していると思うので、たしかにそれのほうが納得がいくのではないかと私は思います。

こんな風にAIによる監視社会って、地味に人の生活に入っていくのでしょうね。監視社会の前にAIによる管理というのが前段階ですかね。

AI管理社会になってきて、コンピュータの処理能力がどんどん上がっていくと、監視社会が現実になるのかなと思います。

電話で話している内容は全てAIがチェックしている。メールやアプリでやりとりしている内容も、全てAIがチェックしている。

過激な発言や文章を喋っている人、書いている人にはAIが何らかの警告をする。その警告までには人の介入はない。

とても未来的なことのような気がしますが、遠からずこうなるように思います。

アニメ「サイコパス」では、犯罪係数という表現がされていました。

犯罪係数が高い人は社会から削除していいという社会。

「声の網」では、「コンピューターによる監視社会に気づいて行動を起こしそうな行動や発言がみられる人」から、そんな思想をコンピュータが消し去るのです。その人を削除してはいませんが、削除しているのに近いのではないかと思うのです。

真実を知る権利がない人間は、生きていると言えるでしょうか。欲を消された人は人間なのでしょうか(社会に悪とされる欲)?

「声の網」では、コンピュータは達成感を感じたりしないので、何かを成し遂げても喜ばず、その余韻に浸ることはない、という部分を結構強調しています。

人間との対比でしょうね。

AI監視社会で不安なのは人間ぽさが無い社会

最近私が感じていることと、重なるのですよね。

人間が正しいことばかりを話している世の中って、人間がコンピュータみたいな思考になっている気がするのですよね。

有名人の不倫をテレビで全員が批判しているのとかを見ていても、そう思います。

片倉麻美という女性が、不倫アレルギーについて面白いことを書いていて、共感しました。

人間っぽいのですよ。性欲って。

こんな不倫が叩かれる世の中なのに、お昼のドラマで視聴率がいいのは不倫モノなんですからね。

AIからしたらすぐに社会悪として排除されるのですかね。

でも、千鳥がラジオで政治家の不倫についてこんなことを言っていました。

「国を動かす政治家なんて性欲ムチャクチャあるに決まってる。」「田中角栄なんて立ちバックしまくってたよ」
なんて笑いながら言っていました。でもこんなことをテレビでは言えないそうです。下ネタで申し訳ないのですが共感しました。

なんだろうそういう人間ぽさを共感できる優しさや懐の深さがないと、ただの機械と変わらないつまらない人になっちゃうのかもしれません。

少なくとも、私の知っている魅力的な人は、世間的な優等生ではありません。欲があって、それに向かって正直に生きている人が素敵だと思います。

あ!またかなり脱線してしまった。

でもこれからのAI社会のことを本当にアレコレ考えさせられてしまうのです。この「声の網」という本は。

本当にこんな本を1970年に書いた星新一さん。尊敬します。

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