「大家さんと僕」 矢部太郎 を読んだ感想・レビュー 手塚治虫文化賞も納得の素晴らしい本
千原ジュニアさんとケンコバさんの「にけつ」にカラテカさんがゲスト出演しまして、その時にカラテカの矢部太郎さんの書いた「大家さんと僕」の話をしていて、ケンコバさんがとても面白いし感動すると言っていたので、すぐにアマゾンで注文。今日届いて一気に読んだので感想・レビューを書いてみます。
漫画というのはおこがましい素晴らしい本なので、ネタバレはしないように違う視点で自分が感じたことを書くだけにしようと思います。
アマゾンで星5つのレビューがついていたのも速攻購入する気持ちになりました。
お年寄りの大家さんと素朴な芸人の触れ合いを書いたほのぼのした本だろうと思って本を読み始める人がほとんどだと思うし、私もそういう気持ちで読み始めました。
ほっこりする、というのですかね。
たしかにそれが一番この本が評価される部分であるのは間違いないと思います。
しかし、読んでいくとそれだけではない奥深さがあるような気持ちになっていきました。
高齢でお一人で暮らしているような方は東京にはかなりいると思います。
そういう方が大家として部屋を貸して、そこに住んだ若い方が家族のようにその大家さんと接する。
これってとても良い「これからのあり方」だという気になりました。
大家さんがとても上品で気遣いのある素敵な方で、矢部さんがとても弱腰の気優しい方であるという偶然がこのような触れ合いになったので、こんな風にお年寄りと若い人が良い関係になるのは難しいと言う人もいるかもしれません。
でも、ひと昔前には考えられないほど、長生きするようになってきています。それと同時に、高度成長期には考えられないほど給料が安いままの若者(20代だけでなく30代も)もいるのが今の日本です。
この本のような形の大家さんと若者が家族のように支え合ったりすることが増えていったらいいと思います。
たしかに、変な人もいるでしょうし、性格的に合わないこともあるでしょう。
大家さんが説教じみていたり、変態だったりね。。。
でも素敵なお年寄りは沢山いるのかもしれません。家賃を少し待ってくれたり、晩御飯のおすそ分けをしてくれたり。
そういうのよりも干渉されずに一人がいいという若者もいるとは思いますが、矢部さんのような優しい方もいると思います。
東京で一軒家に一人暮らしをされているお年寄りは、こういう大家さんになってみるのもいいのではないかと思います。
そんなこれからの日本の形を少し想像してしまった私です。
私の妄想ばかり書いていてもどんな本かわからないので、内容についても少し感想を。
もう矢部さんという方のなんとも繊細な性格が出まくっている絵と、なんか初恋とかをしていた頃の自分を思い出すような大家さんとの会話が素晴らしいです。
大家さんの素敵さが伝わってくるのです。お茶目な描写がいいんです!
読み終わった後すぐに今も存命なのか調べてしまいました。
人と関わり合っていくことの素晴らしさを忘れがちになったら、この本を読み返したいと思います。
手塚治虫文化賞を受賞したのも納得です。いま50万部売れているらしいけど、100万部くらい売れて欲しい作品です。
本当に素晴らしい本なのでぜひ読んでみてください!!